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栄養レシピ&コラム 2013年公開分
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世界五大健康食品

世界五大健康食品

 みなさんは『世界五大健康食品』をご存知ですか?これは、2006年3月に米国の健康専門誌「ヘルス」が、健康に優れた効果があるとして、韓国のキムチ、日本の大豆、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルト、インドのレンズ豆を世界五大健康食品に定めると掲載しました。では、この5つがなぜ健康によいとされるのか、その理由を調べてみました。
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 まずは、日本でもよく食べられているキムチ、塩漬けにした白菜や大根をニンニク、しょうが、梨、リンゴ、エビやイカの塩辛など、数十種類の材料と赤唐辛子を混ぜて作ったヤンニョムという調味料で漬けたものです。漬け込んでいる間に、発酵して乳酸菌が生まれます。キムチの乳酸菌は、ヨーグルトに匹敵するほど多く、特に赤い汁の中にそのほとんどが含まれています。乳酸菌は腸の働きを活発にさせ、消化吸収を促します。腸内環境を改善し、免疫力を高める効果もあります。
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 また、キムチは野菜を加熱していないので、ビタミンCが壊れにくく、発酵の過程でビタミンB1、B2などが増えます。さらに唐辛子に含まれるカプサイシンには、体を温め血流がよくなる、内臓脂肪を燃やすなどの効果があることはよく知られています。ですから焼肉といっしょにキムチを食べるのは、とても理にかなっているといえるでしょう。
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 次に大豆、5つの中に日本の大豆が選ばれたのはとても喜ばしいことです。大豆は他の豆類に比べると、たんぱく質と脂質の割合が多く「畑の肉」と呼ばれるのはそのため。大豆のたんぱく質は、必須アミノ酸をバランスよく含む良質のものです。脂質はリノール酸が多く、血中コレステロールの低下、動脈硬化予防に効果があります。
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加えて骨粗しょう症予防や女性ホルモンのバランスを調整する機能のあるイソフラボン、脳を活性化させる作用のあるレシチン、脂肪やコレステロールを取り除く働きのあるサポニンなど、大豆特有の成分を含んでいます。なんといっても大豆の素晴らしさは、豆腐や油揚げ、納豆、みそなどに加工できるところ、いろいろな形で毎日食べることができます。
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 続いてオリーブ油、注目される成分はオレイン酸で、オリーブ油中の脂肪酸の70~80%を占めています。このオレイン酸は酸化しにくく、含まれているビタミンE、βカロテンとともに、活性酸素の害を防ぐ効果があります。また、血中コレステロール中の悪玉コレステロールのみを低下させる働きがあるので、コレステロールや中性脂肪の気になる方にはおすすめの油といえるでしょう。その他にも胃酸の分泌調整や、腸の働きを活発にして便秘解消に役立ちます。ただしどんなに健康によくても、カロリーは他の油と同じく高いので摂り過ぎは禁物です。
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 ふだん私たちがよく食べているヨーグルトと、ギリシャのヨーグルトは少し違いがあります。「水切り製法」と言って、ヨーグルトをろ過して、さらに水分と乳清(ホエー)を除きます。そのためクリームチーズのようなクリーミーな食感と濃厚な味わいです。普通のヨーグルトに比べ、たんぱく質が約2倍含まれます。もちろん乳酸菌を含んでいるので、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を調え、免疫力を高める働きがあります。水分が少ないのでパンに塗る、サラダに混ぜるなど料理にも使えます。
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 レンズ豆は日本ではほとんど栽培されておらず、馴染みの少ない豆です。3~9mmほどの平たいレンズ状の形で、茶、緑、黒、褐色などの種類があります。たんぱく質や鉄分、ビタミンB群(特にB1、B2、B6、ナイアシン)、E、レシチンなどが豊富です。貧血、疲労回復、美肌、老化予防、免疫力アップなどに効果があります。また、食物せんいが多いので、コレステロールの低下、整腸作用、動脈硬化予防が期待できます。
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 レンズ豆はもどさないでそのまま使え、15分位でやわらかく煮えるので便利です。野菜たっぷりのスープやカレーライス、煮込み料理にすると美味しいです。形がレンズに似ているからレンズ豆という名前になったと思われがちですが、実は凸レンズが発明された時、その形がレンズ豆に似ていたためレンズと名付けられたそう。凸レンズよりはるか昔4000年以上前から栽培されているレンズ豆なのです。
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 長寿国日本ですが、その理由のひとつが日本食であると言われます。中でも大豆製品を昔からたくさん食べてきたことが、現在につながっていると考えられています。大豆と同様、キムチやヨーグルトなども、それぞれの国の気候や風土から生まれ、長く食べ続けられてきたもの。今や外国の食材もたくさん日本に入って来るようになり、ヨーグルトやオリーブ油はブームになるほどです。大豆以外はまだ食経験が浅いので、日本人との相性はわからないところもありますが、それぞれの特徴を知り、うまく食生活の中に取り入れていきましょう。