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栄養レシピ&コラム 2016年公開分
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お肉をやわらかくする方法

お肉を柔らかくする方法

 テレビのグルメ番組などで「とろけるようなお肉」という表現がよく使われます。きっとやわらかくて、美味しいのだろうなと想像します。肉の美味しさの条件にやわらかさは不可欠のようです。
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 そもそも肉は加熱するとどうして硬くなるのでしょうか?肉のたんぱく質は、筋原繊維たんぱく質(凝固温度45~50℃)、筋形質たんぱく質(凝固温度55~60℃)、筋膜(コラーゲン、凝固温度65℃)の3つから成っています。加熱に伴い、このたんぱく質が変性し、繊維状に収縮、凝固し硬くなります。肉の種類や部位によって、たんぱく質の比率や、凝固温度に多少の差があります。つまり、たんぱく質が多い肉ほど硬くなりやすいのです。
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 とろけるようなお肉というのは、脂身(いわゆるサシ)が全体に入っているような、ロースやサーロイン、バラといった部位。モモやヒレ、鶏の胸肉やささ身などは、たんぱく質が多く脂肪が少ないので、ヘルシーですがどうしても硬くなりがちです。また、生肉は保水性がありますが、加熱して結合組織が収縮するときに水分を分離して溶出します。水分には旨味成分や脂肪も含まれるので、この肉汁が多く出るほど縮んで硬くパサついてしまいます。ですから調理としては、なるべく肉汁を出さないようにしたいもの。煮込み料理の場合は、煮汁の中に旨味が溶け出て、長時間煮込むことで、いったん硬くなった組織がふたたびやわらかくなります。
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 やわらかい肉が好まれるようになり、やわらかくする方法が研究され、外食や加工品では食感のやわらかいものが多くなってきました。値段が安くてヘルシーな肉ほど硬くなりがち、家庭でもやわらくできる方法があるので、いくつか紹介します。
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 まずビールやコーラなどの炭酸飲料、牛乳やヨーグルトに漬け込む方法はわりとよく知られています。炭酸に含まれる炭酸水素ナトリウムには、たんぱく質をやわらかくする効果があるので、10分以上漬けます。コーラはさっと洗い流して、ビールや甘くない炭酸水はそのままで調理、牛肉と相性がよいです。牛乳は肉の繊維を分解する効果が、30分~ひと晩漬け込んで、比較的どの肉とも相性がよいです。ヨーグルトの乳酸菌も繊維をほぐす効果が、30分程漬け込み、ヨーグルトを軽く拭き取ってから調理を。
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 さらに、キウイ、パイナップル、パパイヤ、梨、りんごなどのフルーツは、たんぱく質を分解する酵素を含んでいます。酵素は熱に弱いので必ず生で、潰したり、すりおろしたりして15~30分程度漬け込めばやわらかくなります。酵素の力が強いのでフルーツによっては、漬け過ぎると肉がボロボロになることも。漬け汁はしょうゆやソース、ケチャップなどと煮込めば美味しいソースに。そして、キノコにもフルーツと同じ効果を持つ酵素が含まれています。刻んで水とともに肉を漬け込み、水気をきってキノコも一緒に調理します。とくにマイタケはその効果が高く注目されています。
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 手軽な方法として、玉ねぎや大根のすりおろしに漬けると、たんぱく質を分解する成分を含んでいるので効果があります。その他にもハチミツに含まれる糖が肉のたんぱく質の間に入って、硬くなるのをやわらげる効果が。よくいわれるワインですが、こちらは効果がないようです。ただ臭み消しや味の面から、玉ねぎなどと混ぜて使うとよいでしょう。
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 肉がやわらかくなる程度にはそれぞれ差があります。どの方法がどんな肉と合うのか、いろいろ試してみると面白そうですね。漬け込む前に肉の筋を切り、厚いものはそぎ切りにする、包丁の背でたたくなどしておくと、より効果的です。
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 ところで最近、「お肉をやわらかくする粉」なる商品が登場し話題になっています。パイナップルと同じ種類の酵素によってやわらかくなるのだそう。さっそく使ってみると、鶏胸肉がしっとりとやわらかく焼き上がりびっくりでした。興味のある方は一度使ってみてはどうですか。