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栄養レシピ&コラム 2016年公開分
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貧血に要注意

貧血に要注意

 最近疲れやすい、少し動いただけで息切れがする、顔色がわるい・・・などと感じることはありませんか?歳のせい、疲れのせいと見逃していた体の不調には、じつは貧血が関係しているかもしれません。
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 貧血は、血液そのものが足りないわけではなく、血液中にある赤血球の成分、『ヘモグロビン』が何らかの原因で不足することによって引き起こされます。
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 鉄分を材料に作られるヘモグロビンのはたらきは、全身へと酸素を送り届けることです。ヘモグロビンによって運ばれる酸素と栄養素によって、細胞はエネルギーを作り出します。そのため、ヘモグロビンが不足すると、全身が酸素不足の状態となり、疲れやすさや冷え症だけでなく、目の下のクマ、血色がわるくなる、爪や髪がパサつく、食欲が出ないなどの症状が現れます。さらに脳も酸素が不足するため、偏頭痛や眠気、集中力が続かない、モチベーションの低下など、一見貧血とは関係なさそうな慢性的な不調に悩まされることも・・・。
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 貧血の原因として最も多いのが、ヘモグロビンの材料である鉄分が不足することによる「鉄欠乏性貧血」です。原因として、(1)偏った食生活やダイエットによる食事からの鉄分不足、(2)成長期や妊娠により、鉄分の摂取量より消費量が増える、(3)尿や便、汗によって、さらに女性の場合は月経により鉄分の排出量が増えることの3点が挙げられます。
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 鉄欠乏性貧血を予防するには、鉄分の摂取はもちろん、鉄分の吸収を助ける栄養素や、赤血球の材料となる栄養素も一緒に摂取することがポイントです。
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 鉄分の多い食材といえば、ひじき(最近の調査で、ひじきの鉄分は食材そのものでなく、ひじきの下処理で使用する鉄なべからの鉄分だったことが分かり、鉄分含有量は大きく修正されました)やほうれん草を連想するかもしれませんが、じつはこれら植物性食品に含まれる鉄分は「非ヘム鉄」と呼ばれ、吸収率はわずか約5%。たくさん食べたからといって、全てが吸収されるわけではありません。貧血を予防・改善するのに効果的なのは、非ヘム鉄に比べて、吸収率が5倍高い「ヘム鉄」です。ヘム鉄は、赤身の魚や肉、レバー、アサリ、ホタテなどの動物性食品に多く含まれます。非ヘム鉄も、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率をアップさせることができます。ビタミンCが豊富なニラとレバーを使ったレバニラや、ピーマンと牛肉のチンジャオロースは貧血改善にぴったりです。最近では、ヨーグルトや牛乳、ジュースに鉄分がプラスされているものもあり、手軽に取り入れることができておすすめです。ぜひお店で探してみてください。
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 ほかにも、赤血球の材料となる亜鉛や、造血のビタミンといわれるビタミンB12の不足も貧血の原因となります。いずれもレバーやうなぎ、貝類など動物性食品に含まれているので、毎日の食卓に登場させましょう。
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 血液検査の結果は正常範囲なのに、体内に蓄えられている鉄分(貯蔵鉄)が不足している「隠れ貧血」の日本人は1,000万人以上いるといわれています。小食、魚や肉を食べる頻度が少ない、体調不良が続く・・・これらに該当する方は、少し意識して日頃から鉄分の多い食品を取り入れてみてください。