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栄養レシピ&コラム 2018年公開分
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旬到来 リンゴ

旬到来 リンゴ

 少しずつ寒くなり秋が深まってきました。秋といえば食欲の秋。おいしい果物が豊富に揃う楽しみな季節です。この季節に旬を迎える果物のひとつにリンゴがあります。
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 リンゴには、味や大きさ、色、形など様々な種類があります。日本で一番多く生産されているのは「ふじ」で、甘味、酸味、シャキシャキとした食感のバランスがよく人気の品種です。味の当たりはずれが少なく、ほかの品種に比べて日持ちが良いのも魅力です。
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 全体に小さな斑点があり黄色みがかった皮の「王林(おうりん)」は、リンゴの中の王様という意味を込めてその名がつけられました。酸っぱそうな見た目とは異なり、酸味は控えめで甘味が強いのが特徴です。香りがよく果肉もやわらかいので子供からお年寄りまで食べやすいリンゴです。
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 ひと回り小さな大きさでアメリカの古種「紅玉(こうぎょく)」は、硬めの果肉で酸味が強いのが特徴です。そのまま食べてもおいしいですが、アップルパイやジャムなど調理用に最適な根強い人気の品種です。紅玉は、親としても優れ、品種改良により「ジョナゴールド」や「つがる」など多くの品種を誕生させています。このほかに世界では約15,000種類、日本でも約2,000種類の品種があるといわれています。どのリンゴを買ったらよいか迷ってしまいそうですね。
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 リンゴは全体の8割が水分で、ビタミン類が特別多く含まれているわけではありませんが、リンゴならではの栄養素が数多く含まれています。そのひとつが水溶性の食物せんいであるペクチンが豊富で、腸内で善玉菌を増やし、便秘や下痢を改善します。また、血中の余分なコレステロールの排出を促す働きもしてくれます。
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 さらに、色素や苦味成分でもあるポリフェノールが豊富です。リンゴには様々な種類のポリフェノールが含まれており、3種類以上のポリフェノールを持つ果物は珍しく、複数含まれることによって抗酸化作用が一層強くなります。リンゴを切ってしばらく置いておくと表面が茶色く変色するのは、ポリフェノールが劣化させてしまう酵素に吸着し、実の中の酸化を防ぎ瑞々しさを保つ働きをしてくれるからです。ポリフェノールを摂取することによりアレルギー症状の抑制や美白効果も期待できます。
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 ペクチンやポリフェノールは、リンゴの皮や皮に近い部分に多く含まれているので、食べる際は皮ごと食べるのが理想ですね。また、リンゴに含まれる酵素はすりおろすことにより活発になるので、皮付きのまま、すりおろすのが特におすすめです。
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 リンゴの皮の表面がベタベタとしているのが気になったことはありませんか?農薬やワックスではないかと誤解しているかもしれませんが、日本国内のリンゴには人工的なワックスは使用されていません。このベタベタの正体は「油あがり」といって、リンゴ自体が持つ脂肪酸が表面に出てくるため起こる現象です。保湿や水を通さない役目をしており、天然のものなので口にしても問題はありません。むしろ熟するにつれ油あがりが現れるためリンゴがおいしくなったサインといえます。特にこの現象は、ジョナゴールドやつがるなどでよくみられるので、リンゴを買う際は油あがりを目安にするとよいでしょう。
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 風邪がはやり始めるこの時期、リンゴから水分、栄養をしっかり摂って、これから迎える冬を元気に過ごしましょう。