TOP
>
栄養レシピ&コラム
>
栄養レシピ&コラム 2020年公開分
>
味よい魚 アジ

味よい魚 アジ

梅雨が明け、いよいよ暑い夏がやってきました。春から夏にかけ旬を迎える魚のひとつがアジです。季節を問わず食べることができますが、旬のアジは、もっとも脂の乗りがよく鯛以上の美味しさともいわれています。

 アジはスズキ目アジ科に分類されており世界各地の熱帯、温帯域で漁獲され、日本では北海道南部から南九州に群れで生息しています。

 スーパーなどでよく見かけるのがマアジです。アジといえばマアジを指すほど日本人がもっともよく食べている一種です。標準体長は30㎝程で大きなものでは50㎝にもなり、エビやプランクトン、稚魚などを食べ成長しています。また、くさやに使われるムロアジや、天然物は高級魚として扱われる縞模様のシマアジなど、約140種類のアジが確認されています。種類も多く広い沿岸部に生息していることから釣りのターゲットとしても人気があります。

 アジは「味が良い」ことに由来して名前がついたといわれています。魚へんで参ると書いて鯵と読みますが、もっとも美味しい季節が旧暦の3月だったことから大字の参になったという説や、参ってしまうほど美味しいからなど、漢字の語源も諸説あります。

 青魚といえばサバやサンマを思い浮かべますが、アジも青魚のひとつです。体内で作ることができない必須脂肪酸のEPAとDHAを含んでいます。EPAは血液の性状を健康に保ち、血栓を作りにくくし動脈硬化予防に効果的です。摂取頻度によって血液の濃度も変動しやすいため定期的な摂取が有効です。また、DHAは母乳に含まれており、脳の構成成分として乳幼児の脳や神経の発達には欠かせません。記憶力向上や認知症予防にも期待できます。

 また、栄養ドリンク剤によく含まれているタウリンも他の青魚に比べて多く含まれており、高血圧予防や肝臓の働きを助けます。その他にも、たんぱく質、ビタミンB群、カルシウムなどのミネラル類をバランスよく含んでおり栄養価の高い魚といえます。

 アジは青魚の中でも青魚特有の臭みが少なく食べやすい魚です。おすすめ料理は、千葉県の郷土料理でもあるアジのなめろうです。なめろうとは、生の魚の切り身に味噌、ねぎ、しょうがのみじん切りを混ぜ合わせ、ねばりがでるまで包丁でたたいた料理で、漁師飯のひとつです。新鮮な生のアジを使用するため栄養素を失うことなくそのまま摂取できます。また、青魚でもあるアジは酸化が早いため、抗酸化作用のあるしょうがやねぎを一緒に摂ることで酸化を防ぎ、栄養アップも期待できます。

 なめろうの他にも、頭や骨も丸ごと摂取できる南蛮漬け、アジフライ、カルパッチョなど、幅広い料理に活用でき、加熱や生食でも美味しいアジ。暑さで体力が消耗しやすいこの時期、栄養素不足にならないようメニューにアジを取り入れて体力アップをはかりましょう。